5.素朴な疑問−国が債券を発行するのはおかしい(R01/06/10)

 中野剛志氏のMMTの解説によると、MMTは、

と主張しているという。

 @とAは、新しい主張ではない。自国通貨を発行できる政府は、「通貨発行権」を持っている。よって、政府は、通貨は、いくらでも発行できるし、債務があっても通貨を発行すればよいので、デフォルトすることはない。MMTの主張は、「通貨発行権」から導かれる当然の帰結である。
 Bは、初めて聞いたことであるが、そうかと驚くと共に納得した。すると、政府の財源は、租税と新規発行通貨で賄うということである。財務省が、プライマリーバランス黒字化と騒いでいるが、これは、とんでもない誤りである。これを実行したら国民を不幸のどん底に落とし込むことになる。
 国債は、借金なので、大きくなると、大変だ!大変だ!と大騒ぎし、挙句の果てには、増税しようとする。とんでもないことである。
 国は、財源確保のために国債という債券を発行しているが、「通貨発行権」のある政府が何故借金をしなければならないのかわからない。これが、素朴な疑問である。
 民間の貯蓄を利用するという誤った考え方から国債の市中消化が必要と考えたためだろうか。あるいは、単純に税収が不足なら借金だ!と考えて国債が発行されたのだろうか。
 日銀は、民間会社であるが、政府が55%の株式を持っているので、政府の子会社である。よって、連結で見れば、日銀は、政府の一部である。日銀には、「通貨発行権」があるので、政府は、国債など発行しないで、単純に通貨を発行すればよいと考える。政府が、国債を発行して金利を支払うことが理解できない。
 アメリカのFRB(中央銀行)は、民間銀行である。民間だと国債を発行するしかないのだろうか。そもそも、中央銀行が民間というのは、間違っている。ユダヤ財閥に屈服しているからである。自国通貨を発行したリンカーン、ケネディは、暗殺されている。
 現在のシステムでは、日銀が政府から直接国債を引き受けるならば、政府は、国債の金利を払う必要はない。政府が日銀に金利を払ったとしても、連結決算で政府に戻って来る。
 この方法では、日銀が100%引き受けるので、国債という言い方は、おかしい。「新規通貨発行券」とでも言うべきではないだろうか。
 日銀の国債直接引き受けは、財政法5条により禁止されているが、国会の議決があれば、できるとある。
 なぜ、日銀の直接引き受けが、禁止されてるかというと、日銀のホームページでは、「中央銀行がいったん国債の引き受けによって政府への資金供与を始めると、その国政府の財政規律を失わせ、ひいては中央銀行通貨の増発に歯止めがかからなくなり、悪性のインフレーションを引き起こすおそれがあるからです。」とある。
 通貨を沢山発行すれば、通貨の価値が下がりインフレになるのは、当たり前でありMMTも認めている。財政規律は、適正インフレを超えないようにすることである。現在の日本のインフレ目標は、2%であるから、3%以上のインフレにならないように通貨を発行すればよい。
 中野剛志氏の説明の中で、国債の日銀直接引き受けを行うと銀行の日銀当座預金が増え金利が下がりよくないと説明していた。しかし、そのあとで、国債の市場引き受けでも日銀が市場の国債を買い取れば同じだと言っていた。その通りだと思う。現在、日銀は、異次元緩和と称して市場の国債を大量に買っている。これは、銀行の日銀当座預金を大量に増やしている。デフレ脱却が目的だったが、デフレ脱却はできず、何も起きていない。
 政府の予算案作成に当たって、財源は、MMTの主張通り、租税と新規発行通貨で賄えばよい。新規通貨発行量は、インフレ状況を見ながら決めればよい。財政支出伸び率は、島倉原氏作成のグラフを参考にすると、最初は、5%程度から始めればよいと考える。予算案が決まれば、当然、国会で審議され承認されるので、財政法5条には抵触しない。
 インフレを見ながら財政支出を増やし早急に日本再生を実行べきである。
 問題は、これを実現できる有能な政治家が出現することである。

 ところで、MMTの主張は、正しいが、正しいことを説明する語句よくないので、素人には、受け入れがたい。

 国債は、借金である。まずは国債発行を否定する必要がある。

(2019/6/12 一部変更・追加)

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