会社に勤めている頃は、健診などでよく「塩分控えめ」と言われたが、私は、血圧が高くないこともあって塩分はまったく気にしていなかった。また、テレビなどで何処かの大学の先生が、塩分をひかえると長生きするなどと動物実験結果を基に主張していたが、そのような実験は何処かに間違いがあると思っていた。
そもそも、塩分は、人間の食物にとって基本的なもであり、人間が最もおいしいと思う塩分の量が悪いはずがないと思っていた。また、塩分摂取の多い人と少ない人では、2、3倍程度の差であり、この程度の差で良し悪しが決まるものではないと考えていた。ただし、専売公社の99%の食塩は、良くないと認識していたが、これを積極的に避けるようなことはしていなかった。
ところが、新谷弘美著「病気にならない生き方2実践編」を読んで考えを改めた。この本の中の「なぜ食塩は「体によいはずがない」のか?」というところに、下記の記述があった。
要するに、Nacl濃度99%の食塩は、ダメだけれども、自然海塩はよいという。
私には、血圧対策の必要はないが、ミネラル摂取を考えれば、人間は、遡って行けば海から派生しているので、自然海塩からミネラルを摂るのが一番合理的だと思うようになった。
専売公社は、現在は民営化され日本たばこ産業株式会社になったが、塩関係は、「
財団法人 塩事業センター」に移っている。インターネットで塩事業センターの商品情報をみると、ほとんどの食塩が、Nacl濃度は99%である。「新家庭用食塩」というのがあって、これはニガリ分を添加しているためNacl濃度は、90%である。通常家庭で使っている食卓塩やクッキングソルトなどはNacl濃度99%である。これでは、正常なミネラル摂取はできないと考えたので、松江では、塩事業センターの塩は、すべて廃棄し、ミネラル分の多い自然海塩を購入して使うようにした。現在、松江で使っているものは、「
粟国の塩」で250グラム650円の塩である。これに対し、塩事業センターの食塩は、1kg112円で非常に安い。ミネラルの多い自然海塩は、20倍以上もするが、250グラムもあれば、1ヶ月以上はもつので、高いと言っても高が知れている。サプリメントなどを買うよりはるかに安い。
余談だが、ミネラルの多い塩を使って魚を塩焼きにすると非常においしいことがわかった。母の面倒をみはじめた頃は、煮魚を作ったが、最近は、もっぱら塩焼きである。塩をふって10分程度置いてから焼くのが一番おいしい。アジ、イワシ、サンマ、サワラの切り身などは特においしい。ただし、脂の少ないウルメイワシ、トビウオなどはあまりおいしくない。サバは、脂がのっているとおいしい。
塩分は、主に、塩、醤油、味噌から摂っている。塩をミネラル分の多い自然海塩に変えても、醤油と味噌は、Nacl濃度99%の食塩の可能性が高い。
そこで、ミネラル分の多い自然海塩を使用した醤油と味噌を探した。
松江の上乃木のスーバー「ふくしま」に『天然醸造・自然海塩「
海の精」仕込』というラベルの醤油が目に留まった(「海の精」は、240グラム480円)。奥出雲町下阿井の井上醤油店の製品である。阿井はかなりの田舎であるが、先取の気概を持った経営者がいるものだと感心した。720ml、945円で少々高かったがさっそく購入し使い始めた。なかなかおいしい。インターネットで調べると、井上醤油店の醤油は出てくるが、不思議なことに「海の精」を使った醤油は出てこなかった。
松江では、地元石橋町の
カネモリ醤油がおいしいので、従来はこれを使っていた。気になったので、電話で聞いてみたところ、メキシコ産の岩塩を使っているという。ミネラルの含有量を聞いたがわからなかった。以降、カネモリ醤油から井上醤油に乗り換えた。
残るは、味噌である。ミネラルの多い自然海塩を使用した味噌は、インターネットやあちこちのスーパーなどを探したが見つからなかった。今後、味噌メーカーに何軒か当たり自然海塩を使った味噌を作ってもらうよう働きかけるつもりだ。実現するかどうかわからないが、実現したら掲載しょう。
それにしても、食物や医療の世界は、不思議な世界である。誰かが塩分を摂りすぎると高血圧になるというと猫も杓子も「塩分控えめ」「塩分控えめ」の大合唱である。インターネットで「高血圧」で検索し、その治療を見るとほとんどのページが第一に「塩分を控える」と記している。ところが、中にはそれを否定するページもある。例えば、スタルヒン投手の娘ナターシャ・スタルヒンは、2003年の段階で、高血圧は、塩分の摂り過ぎが原因ではなく、カリウムとナトリウムのバランスの問題だと言っている。これを読むと新谷氏が主張するほどNacl99%の食塩が悪いわけではない。しかし、ミネラルの摂取という立場から考えるとNacl99%の食塩はさけなければならない。