3.MMTに期待する(R01/05/28)
10年も前からデフレ脱却のためには、財政出動が必要だとチャンネル桜や三橋貴明氏などは、大いに主張していたが、現実には、政治家や政府は、全く無視しているため、デフレから脱却できない上にGDPは全く増えていない。
ところが、数ヶ月前にアメリカからMMT(Mordern Monetary Theory、現代貨幣理論)が入ってきて現状打破ができる可能性が出て来たので喜んでいる。MMTによると自国通貨は、デフォルトすることはないし、また財源を心配することはないという。よって財政出動をしても何も問題は発生しないというのである。
MMTについてネットを調べたところ、中野剛志氏の解説がYouTubeに載っていることがわかったので、これを聞いて理解した。非常にわかり易い解説なので、是非、皆さんも聞いてみていただきたい。
よくわかるMMT(現代貨幣理論)解説 講師:評論家 中野 剛志氏
「理論」とあるが、理論というよりむしろ「正しいことを述べているだけ」と言った方がよい。一番重要なことは、貨幣のとらえ方である。私を含めほとんどの人は、「銀行は、個人や企業から集めた預金を元手に、貸出しを行っている。」(預金→貸出し)と考えているが、そうではなく、「銀行が貸し出しを行うことで、預金が生まれる」(貸出し→預金):「信用創造」であるという。これは、MMTの主張ではなく、現代資本主義の基本であるという。財務省は、政府は国民の預金を借りていると説明しているが、これは大間違いである。政府が国債を発行すると国民の預金が減るのではなく、国民の預金が増加するのである。ということは、政府が財政出動しても全く問題ないということである。
マスコミやネットでは、MMTに対する言論が沢山あるが、ほとんどが反対論である。5月15日の産経新聞に検証エコノミー:「財政赤字の拡大OK」MMT 米で注目 という記事が載ったが、「主流派の学者らの大半は、"異端視"しており、日本政府も日本銀行も否定的だ。」と結論している。
MMTへの反論が載っているが、実にいい加減な反論である。産経新聞のネット記事は、近いうちに削除されるので、反論だけは、以下に載せておく。
グルーグマン 米ニューヨーク 市立大学 | 金利が成長率より高くなると債務が雪だるま式に増える可能性がある |
パウエル 米FRB議長 | 自国通貨で借りられる国にとって、赤字は問題にならないとの考えは間違っている |
バフェット 米バークシャー・ ハサウエイCEO | 赤字支出はインフレ急上昇につながりかねず、危険な領域に踏み込む必要はない |
ラガルト IMF専務理事 | 現時点ではMMTが持続的にプラスの状況をもたらす国があるとは思われない |
麻生財務相 | MMTは財政規律を緩め、極めて危険なことになりうる。日本をMMTの実験場にする考えはない |
黒田東彦 日銀総裁 | 財政赤字や債務残高を考慮しない考え方は極端な主張で、受け入れられない |
MMTの考え方は、そのうちに正しいと理解されるようになると思うが、天動説から地動説への転換に相当する大転換なので、しばらく時間がかかるだろう。
麻生氏は、民主党が政権を担当しているとき、「政権を取ったら積極的に財政出動をする」と豪語していた。自民党が政権を奪取し麻生氏が財務相になったときは、私は大歓迎をした。ところが、麻生氏は、財務省の説得に負けたようで、財政出動するどころか緊縮財政をせっせと推進し日本を不幸にしている。こんな政治家はいらない。