32. 官僚悪玉論の愚(2012/11/02)
今日の産経新聞の1面に適菜収氏の「官僚悪玉論の愚」というコラムが載っていた。読んでみたが、彼の言うとおりである。官僚支配などというけれども官僚組織は、政府の下部組織である。政治家がしっかりすればよいことで、官僚悪玉論など不要である。
彼は最後に「官僚悪玉論により漁夫の利を得るのは、いつの時代でも、反国家的なイデオロギーをもった政治集団である。今必要なのは「脱官僚」ではない。祖国に忠誠を尽くす官僚組織の強化である。」と結んでいる。 石原慎太郎氏が、東京都知事を辞任して、国政への復帰・新党の結成を目指すと表明した。「最後のご奉公」というので、非常に期待していたが、10月25日の記者会見では、主として官僚叩きであった。官僚叩きで日本はよくなるだろうか。
三橋貴明氏の10月31日の「新」日本経済新聞に東田剛名で痛烈な批判が載っていたので、以下に紹介する。東田剛氏は、三橋貴明氏の著書「コレキヨの恋文」の中に出てくるさくら子首相の首席秘書官である。
「東京として国家との摩擦の中で感じてきたことは中央官僚の独善。発想力がないことが欠点だ。ないからこそ自分で責任を持って判断し、解決しようとしない。」
は?
あのさあ、なんで都知事が中央官僚に文句言ってんだよ。
官僚って、単なる政治家の部下なんだぜ。
文句あるなら、上司の大臣に言えよ、都知事様なんだから。
トップ同士で話つければいいだけだろ。
政治家は、官僚に支配されてるって?そんなわけねえだろ(爆笑問題の田中)。
仮にそうだとしても、官僚に支配されちゃってるような弱い政治家を批判するのが筋だろう。
「尖閣の問題でも全て官僚は自分の手で解決しようとしない。こうした通弊を変えなくてはならない。」
おいおい、こうした通弊を変えるって、馬鹿言うんじゃないよ。
じゃあ、何か。あんた、尖閣の問題を全て官僚が自分の手で解決しようとするように変えたいのかい?
そんなんなったら、それこそ、れっきとした官僚支配じゃないか。
他に中央官僚の何がそんなに悪いのかって言えば、国の会計は複式簿記じゃないから駄目だとか、文部科学省のゆとり教育がけしからんとか、厚生労働省が都の幼稚園を認可しなかったとか・・・。
まあ、そういうのも気に入らないなら直したらいいけどさあ、なんか小さくねえ?
ほかに、もっとやらなきゃいかんことがあるんじゃねえのかよ。
日本は、世界的な危機という、もっとでかい問題に直面してるんだぜ。
それなのに、何ですかね、一体。
人間として80年も生きて、30年以上も政治家やって、首都の知事を14年もやって、マッチョぶって偉そうなこと言って、それで「最後のご奉公」がこれかよ。
東田剛氏の言い方は、ひどい言い方だけれどもそのとおりである。
石原慎太郎氏に期待する人は多いと思うが、次の政治は、安倍晋三氏がきちっとやってくれると期待している。
民主党政権の前は、長い間自民党政権が続いていたが、自民党より右の政党がいなかったため、左に左に引っ張られ、これでも保守政党かと思われるようになっていた。安倍晋三氏は、右よりの本来の政党に戻そうとしているので、石原慎太郎氏は、安倍晋三氏より更に右の言動で活動してもらえれば、安倍晋三氏はやりやすくなると思う。
33. 高橋洋一著「日本経済の真相」を読む(2012/11/04)
松江へ行く途中、上野駅の書店で元財務官僚の高橋洋一氏の著書「日本経済の真相」を購入し読んでみた。三橋貴明氏のブログを読んでいると、高橋氏の言論にときどき接しており彼は正常な論者だと認識していた。
著書は、「俗論」と「真相」という対比で22項目について論じており、最初の3例を下に紹介する。
1俗論:異常なまでの円高、打つ手なし
真相:解決は簡単、円を刷れば円安になる
2俗論:日本のデフレ、原因は人口減少
真相:人口は無関係。デフレはお金不足で起こる
3俗論:景気が悪い以上、株価低迷はやむなし
真相:円安にすれば日経平均1万3000円も可
円高については、上念司氏は、「日銀がお金を刷らないから円高になる」と強力に主張しているが、高橋氏の主張も同じである。
彼は、「大まかに言えば、日本の円の量を米国のドルの量で割ると、為替レートが計算できる。ここでざっくりとした数字を使うが、日本のマネタリーベースはおよそ130〜140兆円、米ドルは2兆ドルで、130〜140兆円を2兆ドルで割り算すると、1ドルはおおよそ65〜70円だ。信じ難いだろうが、意外とシンプルなのである。
有名は投資家のジョージ・ソロスも似たような考え方で実際に投資を行っており、円の量をドルの量で割った数字を表した図を「ソロス・チャート」と呼ばれている。」と述べ、下の図を載せている。
ソニーやパナソニックなどは、円高不況で解雇、工場閉鎖などに追い込まれてているが、民主党・政府、日銀は、円高を放置しているがどういうつもりだろうか。早く安部晋三政権が誕生し早急に円高、デフレ対策を実施してもらいたいと切に望んでいる。
俗論/真相のどの項目もほゞ賛同できるが、6のTPPについては、納得できない。
これについては、
6俗論:TPPで日本の産業はダメージを受ける
真相:プラスの経済効果あり。参加しないと損
となっている。
この項目の冒頭に『TPPは「合コン」と同じ。参加しなければ損』という題目をつけているが、「合コンと同じ」というのが何としても気に入らない。「自由貿易に経済的メリットがあることは、約200年の歴史が証明している。」と言い、デヴィッド・リカードの「比較生産費理論」を持ち出してTPP賛成を主張しているが、これは本当に正しいだろうか。「比較生産費理論」を適用すれば、米などの主食はすべて輸入にたよれということになり、安全保障上問題である。特に今後、世界人口の増加にともなって食料の争奪戦が加速していくが、安定な食糧確保は難しくなる。
高橋氏は、物の貿易にのみに着目しているが、TPPは、24品目についての規制の撤廃である。これは日本の伝統を破壊する。国の健康保険は廃止されアメリカ並みの民間保険になるかもしれない。アメリカの弁護士が乗り込んで来て、日本はアメリカ並みの訴訟社会になるかもしれない。など、など、など。TPP絶対反対である。自民党は、聖域なき関税撤廃に反対している。是非、これを堅持してもらいたいものだ。
34. 日銀式緩和は砂漠の水まき(田村秀男)(2012/11/06)
10月21日から29日まで松江の方へ行き家に居なかったので、新聞を読んでいなかった。帰ってから溜った産経新聞をゆっくり見たところ、田村秀男氏が2つのコラムを載せていた。一つは、10月21日の「包括緩和こそ超円高・デフレの元凶」、もう一つは10月25日の「日銀式緩和は砂漠の水まき」である。田村氏の言うとおりで特に反論することはない。
三橋貴明氏の11月2日のブログに「白川方明日本銀行総裁に関する考察」という表題で白川氏への批判記事が載っていたので紹介する。
【三橋貴明ブログから】
日銀の白川総裁は4月21日にワシントンのパネルディスカッションにおいて、
「膨大な通貨供給の帰結は、歴史の教えにしたがえば制御不能なインフレです」「人々は将来の財政状況への不安から支出を抑制し、そのことが低成長と緩やかなデフレの一因になっている」
と、発言しました。
「膨大な通貨供給」「歴史の教え」「制御不能なインフレ」「財政状況への不安」
見事なまでの抽象論のオンパレードです。
「膨大な通貨供給とは、具体的にマネタリーベースを何倍にする事か。二倍か? 三倍か? 十倍か? 百倍か? 千倍か? 万倍か?」
「歴史の教えとは、具体的に何年何月の誰の通貨供給を指しているのか?」
「制御不能なインフレとは、何パーセントのインフレがどのくらいの期間継続することを意味しているのか?」
「財政状況への不安とは、具体的に何を指しているのか?」
日銀の総裁という金融政策の責任者が、上記の「抽象論」を堂々と語っているわけですから、我が国のデフレが解消するはずがありません。
だいたい、この世界に八百屋で野菜を買う時に、
「政府の財政が悪化しているから、お金は使えないわ。貯金しておきましょう」
などと消費を減らす人はいません。現在の日本で消費が減っているのは、単に「所得」が減少しているためです。そして、なぜ所得が減少しているのかといえば、もちろん「デフレ」のせいなので、白川氏の発言は因果関係を逆さまにしています。
しかも、白川総裁は「財政悪化デフレ論」に加え、「人口減少デフレ論」まで堂々と口にしています。
『最近の金融経済情勢と金融政策運営(日本銀行総裁 白川 方明)
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2010/ko1011a.htm/
(前略)1990年代以降の日本を振り返りますと、経済成長率が趨勢的に低下しているうえ、労働力人口は1998年をピークに、総人口は2005年以降、減 少に転じています。この人口動態の変化、特に労働力人口の減少はボディーブローのように大きな影響を日本経済に及ぼしています。このことは、今後、国内市 場の拡大が見込めるのか、あるいは将来的に安定した雇用や所得が得られるのか、財政は維持可能なのかといった点を考えるだけでも明らかです。こうした点に ついて、国民の不安感が拡がると、現在の家計の消費活動や企業の設備投資行動を抑制してしまいます。長期にわたる需要の低迷や、それによって生じる需給 ギャップのもとでのデフレという現象も、より根本的にはこのような中長期的な成長期待の弱まりが原因です。(後略)』
労働人口が減っていることが問題ならば、デフレではなく「インフレ」になるでしょうが・・・・。こんな子供でも見抜けるような「ウソ」を平気で口にする日銀総裁を存在させている時点で、日本の政治は病んでいます。とはいえ、現在の日銀法では白川総裁をやめさせることはできません。日銀総裁は総理大臣よりも権力が強いのです。
白川総裁の発言を読むと、結局のところ、日銀の、
「日本のデフレは自分たち(日銀)のせいじゃないからねっ!」
と言い訳をかましたいという気持ちが伝わってきます。財政悪化も人口減も、日銀の責任ではありません。というわけで、
「デフレは財政悪化や人口減少のせいです」
が真実だとすると、日銀はデフレについて何の責任もないということになるわけです。
もちろん、財政悪化デフレ論も人口減少デフレ論も「根拠がない出鱈目」でございますので、実のところ日銀は現在、戦々恐々としているわけです。というわけで、中途半端な金融緩和を繰り返しているわけですが、いずれにせよ政権が交代し、断固とした日銀への「強制力を伴ったインフレ目標指示」がなされなければ、我が国のデフレは解決のとば口すら見いだせないでしょう。
そもそも、財政悪化デフレ論や人口減少デフレ論が正しければ、「日本は財政悪化を続け、人口が減り続ける限りインフレにはならない」
という話になるので、通貨発行放題じゃないですか。日本政府はもはや税金を取る必要がなく、支出をすべて通貨発行で賄えばいいのです。
それでも財政が悪化し、人口が減っている限り、インフレにならないんでしょ、白川さん。
【三橋貴明ブログ 終】
三橋貴明氏の言うとおりだと思う。それにしても、「人々は将来の財政状況への不安から支出を抑制」とは驚きである。白川氏は、東大出の秀才とのことであるが、こういう発想を聞くと、秀才=バカとしか思えない。
現在、デフレ脱却を強力に推し進めようとしているのは、安倍晋三氏である。日銀法改正も視野に入れているので、次期総理大臣になることを大いに期待している。
35. 「維新」と「太陽」合流は、「野合」(2012/11/17)
野田首相は、17日、太陽の党と日本維新の会の合流に対して「小異を捨てて大同につくという言葉を安易に使ってしまうが、小異でない、大事なものを捨ててくっつくのは野合になる」と述べという。私は、野田首相は全く支持しないが、上記は、間違っていないと思う。
本日の三橋貴明氏のブログで本件を下記のように記している。
【三橋貴明氏ブログ】
石原氏はともかく、平沼氏ら元たちあがれ日本の政治家たちが、
「TPP参加」
「脱原発」
「消費税の地方税化」
など、日本維新の会の政策を丸呑みしたという話でございます。正直、驚きを隠せません。
平沼 赳夫氏らは、小泉郵政選挙のときに竹中平蔵氏らが中心になって進めていた「構造改革路線」に反発し、自民党を追われました。あの方々が、竹中平蔵氏らが中心になり「構造改革路線」を突き進んでいる日本維新の会に合流する。しかも、政策は丸のみで、名称も「日本維新の会」のまま。
色々な意味で、終わりました。
彼らは今回の総選挙において、いかなる旗印の下で戦うつもりなのでしょうか。「選挙で当選したい」以外の旗を掲げることはできませんし、別の旗を掲げたところで冷笑されるだけでしょう。
自由民主党の安倍総裁は、解散を受け、
「われわれの理念、政策を堂々と訴える王道の選挙をしたい。この3年間、理念、政策を鍛え、この日に備えてきた。間違った政治主導による混乱、停滞に終止符を打つ戦いだ」
と語りました。
【ブログ抜粋終り】
平沼 赳夫氏は、小泉改革に反発したことは評価していたが、彼は悪い前歴を持っている。彼は、村山内閣の閣僚をしているとき、あのどうしよもない村山談話の閣議決定に捺印している。後から突然出て来たとか言って言い訳していたが、何故、罷免覚悟で拒否しなかったのか、大した人物ではないなと思っていた。そして今回の合流である。石原氏に説得されて合流したようであるが、こういう政治家は不要である。
36. 安倍提案の真の意義(2012/11/25)
今朝の産経新聞の「日曜経済講座」に「安倍提案の真の意義」と題して田村秀男氏の記事が載っていた。
GDPが委縮した原因を説明した後、「今、優先すべきは、民間の活力を回復させる路線の確立である。特に設備投資と輸出の増強が急がれる。物価や可処分所得が減り続けるデフレの重圧から消費者や企業を解放することだ。即効性を特つのは超円高の是正であり、それを可能にする手段はとりあえずは金融の量的緩和しかない。中央銀行がお札を継続的に大量供給する量的緩和政策は米欧でとられ、デフレ防止や金融市場安定の効果を上げている。安倍氏提案の「無制限の金融量的緩和」 「ゼロかマイナスの政策金利」 「2〜3%のインフレ目標」はまさに、正論である。」と主張しており、私もこのとおりだと思う。
金融の量的緩和は、アメリカ、ヨーロッパ、シナは、ばんばんやっているのに、日銀はちょぼちょぼである。これを非難する評論家やマスコミは非常に少ない。なぜだろうか、理解に苦しむ。
評論家の池田信夫氏は、安倍提案を実行すれば、ハイパーインフレになると言っているようだけれども、全く理解できない。あるブログでは、安倍氏が総理になると内閣の顧問は、高橋洋一氏が登用され池田信夫氏は登用されないので、安部叩きをしてるのだと書いていた。
三橋貴明氏は、彼のブログで「ハイパーインフレを叫ぶ愚者たち」と題して、11/21、22、24と三日間ハイパーインフレ論者たちを論難している。
新世紀のビッグプラザ―へ
37. 日銀独立して国破れる(2012/11/27)
今日の産経新聞の一面に田村秀男氏の「日銀独立して国破れる」というコラムが載っていた。
「日銀独立して国破れる。かなり過激な表現だとためらったが、やはりそう言わざるをえない。」
と書き出して日銀を痛烈に批判している。まずは、読んでみていただきたい。
「中央銀行の金融政策が物価を左右するというのは、数世紀にわたって試行錯誤してきた経済学上の英知なのである。物価の継続的な下落であるデフレは「物価の不安定」であり、どの国でも「国民経済の健全な発展」を損なう。
4年前のりーマン・ショック後、米欧の中央銀行がお札を大量に刷ってデフレ防止に躍起となったのは、義務を遂行するためだ。デフレを14年間も放置してきた日銀は日銀法に違反している可能性がある。違法と断言できないのは、「物価の安定」の定義がなく、もっぱら日銀自身の解釈に委ねられているからだ。日銀は当初、物価上昇率ゼロ%台を内規としてきたが、今年2月になってようやく「1%のメド」を設定した。それでも達成義務から逃げている。」
と記しているが、9月28日に載せたマネタリーベースの推移を見れば、一目瞭然である。
それにしてもマスコミは、マネタリーベースの比較をほとんど報じていない。安倍氏に反対する論者のハイパーインフレになるなどの愚論を盛んに載せている。野田首相が安部氏の提起に対する反対意見をさかんに載せているが、反対意見はどうでもよい。それより、民主党は、過去3年間デフレ脱却が出来なかった、今後どのようにしてデフレを脱却するのか具体的な政策を聞き出し報道すべきである。
と書いたが、民主党のデフレ対策は、どういうものかNetを調べたらロイターが「民主党の衆院選公約、14年度のデフレ脱却を明記」と題して載せていた。
http://jp.reuters.com/article/businessNews/
「[東京 20日 ロイター] 民主党が来月16日投開票の衆院選で掲げる政権公約(マニフェスト)の最終案が明らかになった。経済政策では「2014年度のデフレ脱却を目指す」として経済成長を促進すると同時に、日銀と一体的に取り組む方針を明記。
過度な円高には為替介入も含めた対応も辞さない姿勢を強調した。民主党は経済連携に関する表記などを早急に詰め、近く正式に決定する方針。
最終案に盛り込んだ経済政策は、14年度のデフレ脱却へ向け、日本再生戦略で定めた重点3分野である「グリーン(環境・エネルギー分野)、ライフ(医療・介護分野)、農林水産業の成長産業化」と「経済連携の加速による海外成長の果実の取り込み」を通じて需要を拡大。「20年度までの平均で名目3%程度、実質2%程度の経済成長を実現する」とした。
日銀の金融政策に関しては、今年10月に政府と交わした共同文書に言及。「文書に基づき、デフレ脱却に向けて政府・日銀が一体となり最大限の努力を行う」方針を掲げた。物価目標設定や日銀法改正などの具体策には踏み込まなかった。」
これを読んで驚いた。これは今までと変わりなく、日本は悪くなるだけである。
円高に為替介入とはとんでもない。円高対策は、日銀が金融の量的緩和をすればよいだけである。
「14年度のデフレ脱却へ向け、日本再生戦略で定めた重点3分野を通じて需要拡大」とは、これも驚きである。これについては、10月10日の太田弘子教授を批判したときの記事とダブルが、少し書いておく。
経済の成長とは、GDPが増えることである。
「グリーン(環境・エネルギー分野)」とは、太陽熱、風力などの新エネルギーを指していると思うが、電力は必要量以上には増やせない。どうしてGDPが画期的に増えるのだろうか。
「ライフ(医療・介護分野)」でどうしてGDPが増えるだろうか。高齢者が増えることを視野に入れていると思うが、高齢者が増えれば、その分だけ介護費用は増えるがそれだけである。医療でGDPを増やすには、患者を増やさなければならい。しかし、患者は、高級医療を受けられだけの収入がなければならい。国民の皆さんが健康に努力し患者が減少したら医療のGDPはどうなるだろうか。医療・介護が「日本再生戦略」の重点分野だという。お笑いである。
「経済連携の加速による海外成長の果実の取り込み」とはTPP推進ということだろうと思う。TPPをやると農業がダメになるので、「農林水産業の成長産業化」を入れているにすぎない。TPPというのは、規制撤廃であるからインフレ対策である。今の日本は、デフレである。デフレのときにインフレ対策したらデフレが促進されるだけである。とんでもないことである。
民主党は、経済のことは何もわかっていないようだ。民主党の公約では、デフレ脱却は絶対にできない。
38. 「維新・改革の正体―日本をダメにした真犯人を捜せ 」の書評
(2012/11/28)
今日の三橋貴明氏のブログに京都大学の藤井聡教授の「維新・改革の正体―日本をダメにした真犯人を捜せ 」の書評を京都大学準教授の中野剛志氏が産経新聞に書いているとあったので、25日の日曜版だろうと思って探したところ見つかった。 「本書は、日本経済の「黄金時代」を築いた戦前生まれの3人、宍戸駿太郎、下河辺淳、小里貞利の証言の記録である。」とあった。宍戸駿太郎は、老齢にもかかわらず今もデフレ脱却の論を展開されており、youtubeでときどき見掛ける人で、彼の見解は正しいと認識していた。他の二人はよくわからない。
日本は、10年以上GDPが増えていない。増えていないのは、日本だけである。その原因は、デフレを放置した政府と日銀にあるが、「3人の証言から、日本を没落させた犯人たちが実名で暴かれていく過程は、スリリングである。」と書いてあるので、是非、読みたくなった。
早速、アマゾンに注文したところ在庫切れで12/12頃にならないと入らない。読んだら書評を載せるつもりである。
39. これは「安倍叩き」だ!(2012/11/29)
今日の産経新聞の「正論」欄に元大蔵官僚で青山学院大学教授の榊原英資氏の「日銀中立性には円の信認かかる」というコラムが載っていた。榊原氏は、ときどき「正論」に寄稿しているが、彼の見解に賛同したことはないので、過去に何を書いていたか覚えていない。今日の記事を読んでみたら完全な「安倍叩き」である。読んでみてほしい。 「円安、株高は結果としては悪いことではなかったが、こうした発言は成熟した先進国では禁じ手に近い。日本銀行も米連邦準備制度理事会(FRB)も欧州中央銀行(ECB)も、政治から独立した 「中立性」を維持してきたからこそ、市場に強く信頼されてきた。」
と書いているが、どうして「こうした発言は…禁じ手に近い」のだろうか。安倍総裁は、デフレを脱却し経済を成長路線に乗せるためには、金融の量的緩和が必要であるから国債を大量に買ってもらう言っているだけである。ところが、毎日新聞が変な記事を書いたためこれをみてマスコミは、安倍総裁が国債の直接取引を要求したと報道している。榊原氏は、この誤報を捕まえて「禁じ手」と言っているのだろうか。
ところがこの後に「今回の安倍発言は、日銀法改正にまで言及するなど、あまりに乱暴である。」と書いているので、日銀法改正発言を「禁じ手」と言っているようである。
日銀法は、法律である。政治家が日銀法を改正すると言うのがなぜ禁じ手なのだろうか。政治家が、法律改正するのは当たり前である。これをするなと言っている。おかしな人だ。
今の日銀法では、「総裁及び副総裁は、両議院の同意を得て、内閣が任命する。」となっているが、どんなに失敗しても罷免されることはない。今のように白川総裁がデフレを放置しても是正することができない。それならば日銀法を改正して総理大臣が日銀総裁を罷免できるようにしようかとなる。だから「日銀法改正を視野にいれて」という言葉が出てくる。
次に「安倍総裁が日本経済の先行きに 「懸念」を特っていることは理解できる。さらなる金融緩和が必要と考えている人たちも決して少なくない。が、そのことと、中央銀行の中立性を放棄させてまで政治家が特定の政策を金融当局に強制することとは別の事だ。」と書いているが、この文章は何を根拠にしているかわからない。何をもって「中央銀行の中立性の放棄」なのだろうか。上の誤報なのだろうか。インフレ目標2〜3%を日銀に要求することが中立性を犯しているというのだろうか。野田首相は、そう考えいるようだけれどもこれは間違っている。アメリカ、日本以外の国では、政府が中央銀行にインフレ目標を指定するのはあたりまえであるという。
そして「本来は日銀総裁と今後の財政金融政策について、穏やかに話し合う機会を頻繁に特つようにするのが筋だろう。しかし、その場合も日銀総裁は政治的スタンスはとれない。むしろ、安倍総裁が日銀の説明を聞くといった範囲にとどめるべきだといえよう。」と書いているが、とんでもない。これから選挙戦である。安部総裁は、デフレで停滞した日本経済を活性化するために具体的提案をしているのにこれを止めて「安倍総裁が日銀の説明を聞くといった範囲にとどめるべきだといえよう。」とは、バカかと言いたい。
この後の「慎重さ迫られる次期総裁選び」は当たり前のことである。次の「官僚機構も「政治化」と無縁」は、自分が官僚出身であるから持ち上げているだけである。石原氏の官僚批判に対抗したつもりだろうか。
兎に角、今日の「正論」記事は、とんでもない記事である。
今朝の『三橋貴明の「新」日本経済新聞』では、上念司氏が日銀について記していたので、一部を紹介しましょう。いや大部分か。
【上念司記事抜粋】
自民党安倍総裁は、解散表明前後から一貫して物価水準目標を今よりも引き上げると主張していましたが、ついに自民党の公約となった模様です。
第46回衆議院議員選挙(平成24年度)自民党選挙公約(案)によれば本日時点で以下のような表記になっています。
26 <大胆な金融緩和でデフレ・円高から脱却>
デフレ・円高からの脱却に向けて欧米先進国並みの物価目標(2%)を政府・日銀のアコード(協定)で定めるとともに、日銀の国債管理政策への協調などにより大胆な金融緩和策を断行します。
さて、このような国際的にみればごくごく当たり前な物価目標に対して、いきなり噛みついて来たのは日本銀行です。
しかも、NHKと毎日新聞が「安倍が国債の日銀引き受けを求めた」という話を捏造し、その捏造報道に対して日銀白川総裁が一般論で反論するという手の込んだ仕掛けまで施されていました。
この点については、東京新聞論説委員の長谷川幸洋さんが詳しく解説し待てますので興味のある方は是非読んでみてください。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34134
安倍総裁が実際には言ってもいないことを、さも言ったことのように捏造というのはいつもの話なのでもう驚きません。
しかし、こともあろうに日銀の白川総裁が捏造報道に乗せられて「中央銀行が国債の引き受け、あるいは引き受け類似の行為を行っていくと、通貨の発行に歯止めがきかなくなり、さまざまな問題が生じる」などとしたり顔で自説を述べるというのはいかがなものでしょうか?
歯止めが必要だからこそインフレターゲットをあらかじめ定めるべきだという議論をしているにもかかわらず、まともな反論をせずに危険性だけを針小棒大に語るというのは悪質な印象操作であると断言していいでしょう。
最近思うのですが、白川氏は金融政策よりもプロパガンダの専門家なのではないでしょうか?
さて、安倍vs白川論争ですが、意外な形で決着が付きました。
白川氏に大学時代経済学を教えた浜田宏一先生は次のように述べてたしなめました。
「日銀法改正以来、日本経済が世界諸国のほぼテールエンドの足跡を示していることから、そこでの金融政策が不十分であったことは明らかです。
日本経済の望ましくない症状として、デフレ、円高という貨幣的な症状が出ているのですから、それに対するのは金融拡張が当たり前の処方箋です。」
(浜田先生から安倍総裁に送られたFAX全文はこちらをご覧ください。
http://www.twitlonger.com/show/k3k8qr
完全に勝負ありましたね。白川さん、完敗です。
【抜粋ここまで】
白川総裁は、デフレを放置しソニーやパナソニックが大幅な人員削減をやって日本人の雇用をなくしても全く責任を感じていないようだ。本当に早く辞めてもらいたい。
あちこちで安部叩きが始まっている。これを克服して安部総理を実現しデフレ脱却を実現しなければ、本当に日本はダメになる。
40. 中国への対応(2012/125/02)
今日の産経新聞の「日曜日に書く」という欄に「腐敗と人権抑圧を攻めよ」と題して佐々木類ワシントン支局長の記事が載っていた。
記事では、中国のいろいろな行動に対して批判しているが、最後に「弱点は腐敗と人権」と題して「宣伝線だの心理戦だのと共産党用語を弄し、同じ土俵で歩調を合わせる必要はない。人権や党幹部の腐敗など、欧米の民主国家と連携し、相手が嫌がること相手がめいるまで国際舞台で言い続けるのだ。」と書いているが、こんなことで事態が解決するとは思わない。
中華人民共和国は、建国以来周辺国への侵略の連続である。これについては、いろいろな雑誌、書籍などで紹介されているが、youtubeに藤井慶喜氏の話が載っている。聞いてみていただきたい。 尖閣問題は、中国の侵略行動の延長戦上にある。腐敗と人権を攻めても効果はないと考える。では、どうするか。まずは、憲法改正を視野に入れて防衛力の強化をはかることが必要である。これはあくまでも攻められたときの防御のためである。では何を以て対抗するか。経済問題をうまく活用するしかないと考える。
中国は、今、格差が大幅に拡大すると共にバブルが崩壊しつつある。これをうまく利用して中国の分裂を図ることである。中国は巨大な市場という考えは捨て、中国を相手にしない経済体制に変えていかなければならない。
安倍総裁は、デフレ脱却に積極的だが、これを実行すれば、円安に行き、中国への依存は大幅に低下する。
今後の財政、金融政策は、この辺をよく見据えて実行すれば、中国へ大きな打撃を与えていくことになると考える。
41. アンカーボルトを引張荷重で使用してよいだろうか(2012/12/04)
今朝の産経新聞の一面に中央道トンネル崩落事故が大々的に掲載されていた。見出しは、「中央道トンネル崩落 死者9人に」「ボルト劣化で脱落」「前兆見逃し ずさん点検」「つり金具は全部落下」とセンセーショナルだ。
そこに天井板を吊っている構造図が載っていた。 この図を見て、「アレ!」と思った。アンカーボルトを引張荷重で使用してもよいだろうかと。私は、技術屋であるが、ただし電気屋であり土木屋ではないが、この構造に納得がいかない。
記事によると「ボルトは長さ23センチでこのうち13センチが天井のコンクリート部分に埋め込まれていた。ボルトを埋め込む際に穴に流し込んだ接着剤が凝固することでボルトは固定される構造だ。」とあり、「流し込んだ接着剤」とあるが、下方に流し込むならわかるが、上方に流し込むのである。これでバラツキのない強度が得られるのであろうか疑問である。
打音診断で健全性が確認できるだろうか。健全性が確認できるというデータはあるのだろうか。
この構造を採用している限り事故は再発する。構造の見直しが急務である。
42. 笹子トンネル事故の原因は、設計不良(2012/12/05)
昨日、「アンカーボルトを引張荷重で使用してよいだろうか」と題して笹子トンネル事故を批判した。テレビや新聞では、専門家と称する人が出てきているが、誰一人として、設計不良と言っていない。経年劣化、点検不良などと目先の議論しかしていない。
あの構造を見て設計不良と考える人は、大勢いるだろうと思ったので、「笹子トンネル事故 設計不良」でネット検索してみたところ、数件出て来た。でも、思ったより少ない。目に留まったものを下記しておくので、目を通してみてほしい。
http://ameblo.jp/syuukitano/entry-11419765445.html
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/31000233.html
http://plaza.rakuten.co.jp/kirkhanawa/diary/201212040000/
http://blog.goo.ne.jp/toshy-dm/e/bf53c61e33b1c9b051561ef88340ff7d
それにしてもこういうとんでもない設計不良が、なぜ指摘されないで採用されていくのだろうか。どこかに大きな体制の欠陥があると考える。体制も見直しきちっと対策しないと再発防止にならない。43. 電力の発送電分離に反対する(2012/12/13)
福島の原発事故を切っ掛けにあたかもこの事故対策の一つであるかのように電力の発送電分離が登場してきている。いろいろな見解を読んでみるとどうも発送電分離は、新自由主義からの発想のようで賛成できないでいた。
昨日(12/12)の産経新聞一面に東谷 暁氏が「新政権のもと電力戦略」と題して電力の発送電分離を批判しており、明快な説明だと思った。
彼は、「発送電分離を進めてきた欧州においては、競争が激化したあげくにかえって寡占が進み、はじめに低下した電力料金もすべての国で上昇に転じた。発送電分離派は、たとえばドイツでの料金上昇は増税のせいだというが、増税分を除いてもなお、以前より高くなっている。」などを挙げて、発送電分離に反対している。
新自由主義は、規制を撤廃し競争が激化すれば、供給量が増え価格が低下すると考えているようだが、これは初めのうちだけで、やがて寡占化が進む。寡占化が進めば、当然価格を上げてくる。これは当たり前であると思うが、新自由主義(新古典派)経済学を信じている人にわからないようだ。
ユーロは、新自由主義を取り入れ、関税などの規制を撤廃し、おまけに共通通貨にした結果、今の欧州危機だ。規制を撤廃すれば、強いドイツが勝つだけである。
TPPも新自由主義の最終の到達点だ。TPPを実行したらすべてアメリカナイズされ、日本のよき伝統は崩壊する。TPPは、絶対に受け入れてはないらない。
44. 安倍自民党大勝 脱デフレに期待する(2012/12/17)
予想されていたとはいえ、安倍自民党が大勝利したことは非常に喜ばしいことである。金融政策と財政政策のパッケージでデフレ脱却という正攻法を掲げていたのは、安倍自民党だけであった。早急に実行に移しいただきたいと思う。問題は、日銀がどう対応するかである。
昨日の産経新聞の「日曜経済講座」に「総選挙後、円安・株高は定着するか 難関は日銀総裁、超党派で突破を」と題した田村秀男氏の記事が載っていた。
田村氏が心配するように白川日銀総裁がどう対応するかである。白川氏は、デフレの原因は、消費者が国の借金が大きいのを心配して消費をひかえているからだとか、人口減少でデフレになるとか、とんでもないことを言っており、正常な人間であるとは思えない人である。
田村氏は、最後に『総選挙で「脱デフレ・超円高是正」をうたった諸政党は、超党派で結束し、日銀に対してこれまでの政策の失敗責任について説明を求め、すみやかな政策大転換を迫るのが当然だ。』と結んでいる。
今の日銀法では、日銀総裁は、どんな大きな失敗をしても誰からも罷免されることがないようになっておりとんでもない法律である。今回、自民・公明で320席以上とったのであるから、日銀法改正を強力に推進すべきである。
45. 財務大臣に麻生元総理を(2012/12/18)
いよいよ安倍内閣が発足するが、デフレ脱却に最も重要な閣僚は財務大臣である。財務大臣には、麻生元総理に是非やってもらいたい。麻生元総理のこれまでの言動を見ると、彼は、デフレ脱却の正攻法を十分に理解しているからである。彼は、ある講演会で「政権を取ったときは、猛烈な反発を受けるかもしれないが、積極的な公共投資を実施する」と主張していた。
今朝の三橋貴明氏のブログに下記の記事が載っていたので紹介する。
『そしてもう1人、安倍総裁をこれまで陰に陽に支えてきた麻生元総理大臣が副総理兼財務大臣として入閣することが固まりました。これで、女房役である官房長官の菅氏と、安倍氏が力を入れる経済政策の担当大臣に麻生氏と甘利氏が就任することになります。
この顔ぶれに共通するのは、安倍氏が全員信頼を置く人々であって、かつ全員が閣僚経験者であることです。
安倍総裁は今回、経験者を優先することで「重厚で安全、安心な布陣」を敷くことを狙っているものとみられます。
安倍氏が考えた現時点での「オールスター内閣」が今回の顔ぶれだといえます。』
というニュースが流れました。
(このニュースソースは、http://news.tbs.co.jp であるが、アクセスしたときは、すでに削除されていたので、不正確な情報だったようだ。管理者)
本当に「麻生太郎財務大臣」が誕生するとなると、これはまさに「平成の高橋是清」になります。平成の高橋是清と言えば、小渕恵三内閣時代の宮澤喜一元総理がいたではないかと思われたかも知れませんが、宮澤元総理は厳密には「平成の高橋是清」ではありません。なぜなら、小渕内閣は「デフレ対策」を訴えて選挙に勝ったわけではないためです。
1931年12月に民政党の若槻内閣が倒れ、後を継いだ政友会の犬養毅は、いきなり総選挙に打って出ます。この時、引退から引っ張り出した高橋是清の提案で、政友会は、
「大々的なデフレ対策を実施する」
という公約を掲げ、総選挙に勝利したのです。
是清はデフレ対策の実施について「民意」を獲得した上で、大蔵大臣として辣腕をふるい、
「日銀の通貨発行」
「日銀の国債買入」
「政府の財政出動」
という、わたくしが100ぺんくらい繰り返している正しいデフレ対策のパッケージを実施し、我が国を世界で最も早く大恐慌という「超デフレ」から救い出すことに成功しました。
そして、2012年。安倍総裁率いる自民党は、
「大々的なデフレ対策を実施する」
という公約を掲げ、総選挙に勝利したのです。
国民の民意に基づき、正しいデフレ対策を実施する、一度、内閣総理大臣を経験した財務大臣(大蔵大臣)ということであれば、日本の憲政史上、高橋是清と麻生太郎しかいないのです(麻生総理はまだ財務大臣になられたわけではないですが)。
ということで、今後の安倍内閣の組閣に注目したい。
46. 尖閣への対応(2012/12/19)
尖閣諸島は、国際法上疑いもなく日本国の領土であるにもかかわらず、中共が1971年に突然領有を主張し始め、最近は領海侵犯を繰り返している。これに対しては、戦闘を覚悟して守らなければならないと思っていたところ、今日の産経新聞一面の『「改革」あれこれ』に『「尖閣」宥和策 高い代償』と題してJR東海会長の葛西敬之氏のコラムが載っていた。内容は、実に明快である。
今までの政府の対応に対して、「尖閣諸島が日本固有の領土であることは国際法上疑いのない事実であり、日本政府は一貫して日中間に領土問題は存在しないと明言している。従って現今のような異常事態を前にしたときこそ日本政府は毅然とした態度と行動により自らの正当性を主張すべきである。国の施設の建設、公務員の配置は当然のこと周辺諸島の防衛力強化を淡々とやれぱよい。それなのに日本政府は中国政府の顔色を窺って実効支配を自制し、それを以て中国が自制してくれるのではないかと期待を繋いでいる。自国の領土が侵犯されているのに他国の顔色を窺いながら看過するような政府は国民の保護・領土の保全という国家の最小限の責任をも果たしていないとしか言いようがない。」と痛烈に批判している。このような対応は、ヒットラーに対し宥和策をとったため、彼を増長させたことにあてはまると言っている。
そして最後に「最近は尖閣だけでなく沖縄もまた中国古来の領土だとエスカレートしている。日米同盟を分断し、米軍を沖縄から追い出し、西太平洋の海洋覇権にまでも野心を増長させたがゆえである。それを認識しているからこそ米国の国防長官や上院が、尖閣諸島は日米同盟の傘の内だと明言・明記したのだ。中国の行動の意図がそこに有る以上、日本政府による卑屈な形勢観望と理解の懇請は彼らの自信を深めるだけで、解決にもならない。今こそシヤット・アウト・ビッドを掛けるべき時だと思う。新政権に期待したい。」と記して結んでいる。
政府が毅然とした態度を取らないのは、東京裁判史観に侵されており、また、日本国憲法に制約されているからである。安倍総裁は、「戦後レジュームからの脱却」を主張しているが、これはとりもなおさず東京裁判史観からの脱却と憲法改正である。
日本国を背負っている総理大臣としては、直ちに葛西氏が言うような対応はとれないと思うが、民主党のような軟弱対応はしないと期待している。
また、デフレから脱却し経済を成長路線に乗せ、シナとの交易を縮小することも有効な対策である。
47. 朝日新聞のとんでもない論説(2012/12/20)
今日の三橋貴明氏のブログに朝日新聞の編集委員、原真人氏のとんでもない論説の紹介とそれに対する批判が載っていた。そして最後に「本エントリーを、是非とも転載、拡散して頂ければ嬉しく存じます。」と書いてあったので、このブログでも紹介することにした。
『高成長の幻を追うな〈政権再交代〉■編集委員・原真人
http://www.asahi.com/senkyo/sousenkyo46/news/TKY201212180512.html
自民党圧勝を受けた金融市場は新政権を歓迎し、安倍晋三総裁が望んだ円安・株高が進んでいる。だが市場はしばしば誤ったメッセージを発するものだ。
財政と金融の両方でお金をばらまこうという「アベノミクス」は、短期の相場を考える金融市場の人々には心地よく響くが、日本の将来にとっては危うい路線である。
量的緩和政策はデフレ解消や成長促進への効果が薄く、副作用が大きい。それがこの10年、日本銀行が試みを重ねた末に学んだ答である。にもかかわらず安倍氏はデフレ脱却のため日銀に「輪転機をぐるぐる回してお札を刷る」よう求めている。
このうえ際限なくお金をばらまけばどうなるか。経済は好転せず人々の給料が上がらないまま、金利や物価だけが上昇しかねない。その先にはギリシャのような危機連鎖が待っている。
安倍氏には日銀に建設国債をありったけ買わせて「国土強靭化」の資金を調達したいという思惑もあるようだ。自民党が描く10年間で200兆円(事業費)の公共投資を実現するなら政府の公共事業予算を2〜3倍に膨らませる必要がある。人口減少国家にはかなりの重荷だ。
今後はただでさえ橋やトンネルなど老朽化したインフラの維持更新に巨額の費用がかかる。一方で利用する人口は今後40年間に3千万人減る。ならば利用率の低いインフラをたたみ、維持費を減らす方が理にかなっている。社会のダウンサイジングをどう設計するか。それこそが日本の長期的な課題なのだ。
民主党政権も理解していたとは言えない。「コンクリートから人へ」といいつつ、整備新幹線の着工など大型公共事業を進める逆行政策が目立った。
さらにそれを加速させんとする安倍氏には、「名目3%成長」という人口増時代の高い潜在成長率の感覚があるようだ。日本が人口減少の成熟社会となった今、そこにこだわれば、政策の歪みは大きくなる。
希望を見出さなければならないのは、別の視点だ。日本の働く世代1人当たりの実質国内総生産(GDP)はリーマン・ショック前と今と比べ欧米より伸びが高い。規制改革などを通じてこうして一人一人が生み出す価値を増やす努力をつ続ければ、人口減少下でも、年金や医療で持続可能な社会を設計する道は生まれる。
新政権がアベノミクスにとらわれ続けるなら、持続可能社会の実現をさらに遠ざけるだけだ。そうなれば、私たちは遠回りのコストをまた負担させられることになる。』
とりあえず、誤記があったので、訂正。
誤:市場はしばしば誤ったメッセージを発するものだ
正:朝日新聞は常に間違った情報を報道するものだ
誤:「名目3%成長」という人口増時代の高い潜在成長率
正:「名目3%成長」という世界的にみて情けないほど低い潜在成長率
さて、もはやどこから突っ込めばいいのかわからないほど、とにかく「ウソ」と印象操作の抽象論だらけです。とりあえず、原氏は経済を一度でいいから、真面目に勉強しましょう。あなたがマクロ経済について「何も知らない」ことは、もう十分に分かりました。
「量的緩和政策はデフレ解消や成長促進への効果が薄く、副作用が大きい。」
だからこそ、財政と金融のパッケージなのでしょうが・・・・・。自分で数行前に「財政と金融の両方でお金をばらまこう(この表現もアレですが)」と書いておきながら、量的緩和は効果が薄いと書いている以上、安倍政権の「財政と金融のパッケージ」としてのデフレ対策について根本から理解していないことが分かります。
しかも、安倍総裁が、
「「輪転機をぐるぐる回してお札を刷る」よう求めている。」
「このうえ際限なくお金をばらまけばどうなるか。」
などと、悪意にまみれた抽象論で表現していますが、安倍総裁は単に、
「目標のインフレ率を達成するまで、金融緩和を無制限に続ける」
と、普通のデフレ対策を求めているわけです。なぜ、「目標のインフレ率を達成するまで」という部分を省くのですか。日本語を理解する頭脳を持っていないんですか、原さん。
日本銀行が発行した通貨を、政府が「雇用」「所得」になるように使えば、
「経済は好転せず人々の給料が上がらないまま、金利や物価だけが上昇しかねない」
などと言うことは有り得ません。何しろ、政府は「人々の給料になるように」お金を使うのです。
物価が上がるとは、消費や投資の価値が上がるという話です。消費や投資が増えると、反対側で必ず生産が増えます。生産が増える場合、企業は必ず人件費を上げます。さもなければ、人が人件費が高い企業に流出し、生産が出来なくなってしまうためです。
原氏は、企業の生産が増えていき、「人材」の奪い合いが起きても給料が上がらないと言っているわけで、頭が悪いとしか表現のしようがありません。朝日新聞が優秀な人材を他紙と奪い合う状況になれば、人件費を上げざるを得ないと思うのですが。それとも、朝日新聞は人材奪取の競争に参加せず、頭の悪い記者に記事を書かせて没落していくのでしょうか。原氏の文章を読んでいると、後者のように思えますが。
原氏が頭が悪いと思うのは、金融緩和の話を一方的に批判した後に、「政府が雇用や所得を創出する」国土強靭化を取り上げている点です。国土強靭化で政府が公共投資を増やせば、所得や雇用が生まれます。結果的に、
「経済は好転せず人々の給料が上がらないまま、金利や物価だけが上昇しかねない」
などということは起きません。原さん、自分で答えを書いているじゃないですか。
ついでに書いておきますが、国土強靭化の中には原さんが大好きな「インフラの維持更新」も入っています。さらに、築地の朝日新聞本社で働く人たちの「生命」を次なる大震災から救うであろう公共投資も入っていますよ。築地のあの近辺だけ、国土強靭化の「対象外」にするべき、と朝日新聞社員たちの前で宣言できますか? 原さんが次の大震災で危険にさらされるのは勝手ですが、他人を巻き込むのはやめましょう。
そして、今どき人口減少「非」成長論。。。。原さん、あなた、世界に人口が減っている国がどのくらいあるか知っていますか?
【05年〜10年世界の人口減少国(減少率)】
国名 減少率
ガイアナ 0.06
日本 0.07
アメリカ領ヴァージン諸島 0.07
ポーランド 0.08
ドイツ 0.09
エストニア 0.11
ボスニア・ヘルツェゴビナ 0.12
トケラウ 0.12
クロアチア 0.15
ハンガリー 0.21
ドミニカ 0.28
サンピエール・ミクロン 0.34
ロシア 0.40
ルーマニア 0.42
ラトビア 0.46
ベラルーシ 0.47
ブルガリア 0.64
ウクライナ 0.65
リトアニア 0.97
モルドバ 1.00
グルジア 1.13
セントヘレナ 1.35
ニウエ 2.68
出典:国際連合「世界人口推計報告書」
世界には日本よりも人口減少ペースが速い国が、二十以上もあるのです。ところが、GDPが二十年もマイナス成長もしくは横ばいを続けているのは、我らが日本国だけです。理由は、もちろんデフレから脱却できないためです。
そして、なぜ日本がデフレから脱却できないのかと言えば、まさしく原氏に代表される「経済的自虐史観主義者」たちが、上記のような「ウソ」の言説をばら撒き、政府が正しいデフレ対策に踏み込めないためなのです。
日本の成長のボトルネックは、人口減少でも公共投資拡大でもありません。あなたの存在ですよ、原真人さん。あなたたち「嘘つき」の存在が、日本の経済成長の邪魔をしているのです。
いい加減、ご自分の頭の悪さを自覚して、ウソを撒き散らすのはおやめになられた方がよろしいかと存じます。全ての日本国民が迷惑します。
以上が三橋貴明氏のブログからの転載である。
朝日新聞の編集委員の原氏は、全くマクロ経済を理解していない。巷に蔓延る「経済的自虐史観」にマインドコントロールされている。というか朝日新聞は、日本が嫌いで日本が発展することがいやなのだ。従軍慰安婦問題は、朝日新聞の捏造であるが、捏造してでも日本を貶めたいのである。
以前に記したが、何としても朝日新聞を廃刊に追い込まなければならない。それには、まず朝日新聞の購読を止めるよう活動していくことが必要である。
48. 産経新聞「日曜経済講座」を批判する(2012/12/23)
10月14日のこのブログで「財政健全化しか頭にない産経の客員論説委員」と題して岩崎慶市氏のコラムを批判したが、今日の産経新聞の「日曜経済講座」に再度登場していた。第2次安倍政権への注文のようだが、間違った認識が多すぎる。
指摘したいことが沢山あるが、面倒なので、数件に留めておく。岩崎慶市氏は、新古典派経済を信奉しているかどうかわからないが、「改革」が大好きのようだ。
冒頭に「近く発足する第2次安倍晋三政権が、マクロ経済財政運営の司令塔として「経済財政諮問会議」を復活させるという。民主党政権の政策決定プロセスの混乱が諮問会議の廃止から始まったことを考えれば、大いに結構である。ただ、問題は小泉純一郎政権時代のように、これを改革の司令塔として活用するかどうかだろう。」と書いている。小泉首相は、「改革なくして成長なし」と言って新古典派経済学を信奉していたが、新古典派経済学が唱える「改革」はインフレ対策である。深刻なデフレに陥っている日本にインフレ対策をしたらデフレが深刻化するだけである。小泉政権時代のGDPはほゞ横ばいで成長していない。橋本政権以降の「改革」が日本をデフレに追い込んできた。安倍総裁は、過去の自民党の政策を反省し、小泉政権のような「改革」には手を出さないと考える。「改革」に手を出すのは、デフレ脱却後である。
「新たな懸念材料として指摘したいのは、防災だけでなく成長の手段として位置付けている「国土強靭化」という公共事業重視政策である。GDP比で欧米に近い3%台まで低下させたのは民主党政権だが、削減に舵を切ったのは小泉政権である。公共インフラは全国的に整備され、新たな投資に成長押し上げ効果はないとの理由だった。人口減少時代に入った今、この考え方はより説得力を持つ。」と書いているが、相変わらず公共事業罪悪説に立っているようだ。国土強靭化をやるからには、防災だけではなく、当然経済成長を促すよう配慮するのが当たり前である。バカかと言いたくなる。
「デフレ脱却はどうか。これは税収の面からも不可欠だが、金融政策だけで可能になるわけではない。」と書いているが、金融政策だけでは、ダメだから安倍総裁は、金融政策と財政政策のパッケージで推進すると言っている。財政政策は、「国土強靭化」という公共事業の推進である。安倍総裁の主張を全く理解していなようだ。
「成長にはアジアの成長を取り込む環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加も欠かせない。反対しているのは農業や医療分野だが、農業への企業参入や混合診療解禁などの規制改革は、TPPと関係なしに成長戦略として必要なのだ。早期に交渉参加を表明すべきだろう。」
これがまたおかしい。TPPでアジアの成長を取り込むとは、バカかと言いたい。TPP参加国の中で東南アジアは、シンガポール、ブルネイ、マレーシア、ベトナムの4ヶ国である。この4ヶ国のGDPは、日本のわずか10%である。例えば、この4ヶ国が大いに成長し年10%成長し、そのうち日本が大きく10%を取り込んだとしても日本のGDP増は、わずか0.1%である。「アジアの成長を取り込む」というのは、ナンセンスである。 それにしても、「反対しているのは農業や医療分野だが、農業への企業参入や混合診療解禁などの規制改革は、TPPと関係なしに成長戦略として必要なのだ。」と書いているが、「農業への企業参入や混合診療解禁などの規制改革」を行えば、TPPに参加しても問題ないと言いたいようだが、とんでもない。TPPの問題は、農業と医療分野のみではない。24品目もある。24品目について、聖域なき関税撤廃をやったら日本の良き伝統は破壊され、アメリカの植民地になってしまう。
それにしても、TPP推進論者は、TPPの具体的な利点を一切挙げていない。「アジアの成長を取り込む」のような抽象的なことを言うだけである。不思議な連中である。
49. 中央銀行の独立性とは何だろうか(2012/12/27)
安倍総裁(今日は、安倍総理であるが)は、日銀に対して物価目標の導入を迫っているが、当たり前の要求だと思っている。なぜ、今までの内閣がこれを行ってこなかったのか不思議である。ところが、新聞や評論家が「日銀の独立性を脅かす」とあちこちで書き立てている。
少し前であるが、12月24日産経新聞に下記の記事が載っていた。
「安倍晋三自民党総裁が23日の民放番組で、日銀法改正を示唆して物価目標導入を迫り、金融政策への関与を強める姿勢を示した。政府と日銀の政策協定(アコード)についても、目標が未達の際には日銀の責任を問う考えを表明。日銀に雇用拡大への責任を負わせる考えも示し、日銀に「結果」を出すことを改めて迫った。
日銀はすでに物価目標の検討に乗り出している。この日の安倍発言は、日銀にとって導入に向けて″ダメ押し″ともいえる発言だ。市場では「金融緩和の強化はデフレ脱却の必要条件」(大手生保)と、安倍氏が演出する日銀との協調態勢に期待する声がある。」
と市場が期待していると書いたその後に、
「ただ、「中央銀行に負担を掛ける方向に寄りすぎ」 (大手銀行幹部)など、安倍氏の発言が日銀の独立性を脅かす懸念も出始めた。日銀の独立性が脅かされれば、「政府の言いなりになって、財源として発行される国債を購入(財政ファイナンス)している」と市場で受け止められる恐れがある。そうなれば、巨額の借金を抱えた財政に対する信頼も失われ、景気が低迷している中で金利が上昇する懸念もある。」
と書いているが、これがさっぱりわからない。「日銀の独立性を脅かす」とはどういうことだろうか。
『「政府の言いなりになって、財源として発行される国債を購入(財政ファイナンス)している」と市場で受け止められる恐れがある。』
と書いているが、政府が国債を買ってくれと要求し、日銀がこれを実行して何が悪いのだろうか。日銀が国債を購入すれば、政府は、日銀購入分の利子は払う必要はなくなる。日銀は、政府の子会社であるからである。日銀が国債を購入すると市場は何を心配するのだろうか。なぜ、財政に対する信頼が失われるのだろうか。日銀が国債を購入するとなぜ金利が上昇するのだろうか。さっぱりわからない。日銀が国債を購入するということは、その分だけ政府の借金が減少したと等価になるので財政負担は軽くなる。日銀が国債を購入すると市場に通貨が増えインフレ方向へ行くことが心配されるだけである。今は、デフレであり日銀の国債購入は適切である。政府のインフレ目標は、2%であるから、これを超えないように国債等を購入すればよいだけである。
最後に『ただ「中長期的視点で金融政策を担う日銀に対し、政治は短期間での効果を優先しやすい」(市場関係者)とみられ、政府の関与が強まることによる悪影響を懸念する向きもある。』と書いているが、これもよくわからない。「政府の関与が強まることによる悪影響」とは、どういうことを言っているのだろうか。この記者に質問しても答えてくれないと思う。巷で言われている安倍叩きの俗論を書いただけだろうと思う。
日本銀行法第三条は、「日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない。」となっており、これは、金融政策の独立性ではなく、手段の独立性である。
第四条は、「日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない。」となっているので、政府方針が「デフレ脱却、インフレ目標2%」ならば、日銀は、これを受け入れるのは当たり前であり、独立性の侵害にはならない。
安倍総裁の要求を聞いて日銀はすでに物価目標の検討に乗り出していると報道されているが、これは、日銀法第四条に則った対応であり当然の行動である。
それにしても、野田首相は、日銀法を読んだことがあるだろうか。安倍総裁の日銀への要求は、独立性を脅かすとさかんに言っていた。
ところで、今の日銀法では、どんな失敗をしても責任を問われないし、誰も総裁を罷免することができないようになっているので、この辺の日銀法改正は、必要であると考える。
50. 発足したばかりの安倍政権への失礼なコラム(2012/12/27)
今日の産経新聞「正論」欄に評論家、拓殖大学大学院教授・遠藤浩一の『「安全運転」だけの内閣でいいか』と題したコラムが載っていた。これは、Webにも載っていたので下記する。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121227/plc12122703080003-n1.htm(削除されている。)
『第2次安倍晋三内閣が発足した。熟慮を重ねた人事の狙いは、来夏の参議院選挙までは外交・安全保障などでは「安全運転」を心がける一方で、経済再建に全力を傾注し、実績を上げて選挙に臨み、“ねじれ”を解消しよう、ということのようである。
≪政権維持が自己目的化しては≫
(省略)
≪「古い自民」の轍踏んだ民主≫
(省略)
≪安倍氏は所信を訴え続けよ≫
その意味でも、「安全運転」とか「まずは経済」といった安易な便宜主義は曲者(くせもの)だ。国民に対して、勇気をもって自らの所信を、不断に、愚直に訴え続けることこそ肝要ではないか。
さて、戦後一度首相を退いて再びその座に返り咲いたのは、昭和23年秋の第2次吉田茂内閣以来である。吉田氏は翌24年1月の総選挙で民主自由党を圧勝させ第3次内閣を発足して以降、復興と主権回復という難事業と、本格的に取り組むこととなるわけだが、このとき彼は、選挙での勝利に満足せず、民主党を分断して犬養健氏らの政権への取り込みをはかっている。保守合同によって「政局の長期安定を確保し、国家再建をなしとげたい」(『回想十年』)と考えたのである。
安倍氏にとっても国家再建が究極の政治課題である筈(はず)だ。その前提として「政局の長期安定」が必要なのであり、そのためにいまのところ「安全運転」に徹するということだろう。しかし、自民党と公明党という枠組みの復活が、果たして「政局の長期安定」を保証するだろうか。安倍氏の構想する「国家再建」を実現することになるだろうか。
自公政権の復活は、言ってみれば3年4カ月前の「古い政権」の再現でしかない。むしろ「維新の会」などを巻き込むかたちで保守政党の合同を実現することによって、はじめて国家再建への展望が拓(ひら)けるのではないかと思われるのだが、「安全運転」の自己目的化はその芽を摘むことになりはしないか? そんなこと、新首相は、百も承知だとは思うが。』
これを読んで驚いた。「安全運転」という言葉が突然出て来ているが、組閣人事を見てそう思ったよう見えるが、そうかどうかよくわからい。「政権維持が自己目的化しては」などと書いているので、安倍政権は、安全運転をして何もしないのではないかと疑心暗鬼ようである。安倍政権は、昨日組閣したばかりでないも行動を起こしていない。こういう状況のときに『「安全運転」だけの内閣でいいか』というコラムが出て来たことに呆れてしまった。
安倍氏は、戦後レジュームの脱却を目指しての再登場である。「安全運転」で政権維持を図るようなら再登場しなかっただろう。安倍政権に対する大変失礼なコラムである。
「自公政権の復活は、言ってみれば3年4カ月前の「古い政権」の再現でしかない。むしろ「維新の会」などを巻き込むかたちで保守政党の合同を実現することによって、はじめて国家再建への展望が拓(ひら)けるのではないか」
と書いているが、これはとんでもない間違いである。「維新の会」は、自身は保守であると称しているようだが、保守ではない。憲法改正、集団的自衛権行使などを唱えているので、保守と勘違いしているようだけれども保守ではない。保守とは、歴史と伝統を尊重し漸進的に改革改善していくことである。ところが、「維新の会」は、新古典派経済学(新自由主義)を信奉するグレート・リセットを目論んでいる革命政党である。京都大学の藤井聡教授によると、維新の会の政策は、新古典派経済学者のミルトン・フリードマンなら80点を付けるだろうと言っており、全く保守とは異なる。
保守の自民党(完全な保守ではないが)と維新の会が合同しても上手くいくはずがない。
それにしても、産経新聞は、この時期にこんなコラムを載せるべきではない。良識が疑われる。
51. 小沢一郎は早く消えてほしい(2012/12/29)
小沢一郎の行動を見たり言論を聞くと、とても日本の政治は任せられないと思っていた。
ところが、民主党が政権を取った時点では、威勢よく600余人を連れてシナへ朝貢外交に行ったり、外国人への地方選挙権付与活動などを行っていたので非常に心配していたが、政治資金問題の訴訟で一戦から退いたので少々安堵していた。
その後、小沢グループは、消費税増税問題で民主党を離党し、「国民の生活が第一」という党を設立するも、衆議院選挙公示前に嘉田由紀子滋賀県知事の「日本未来の党」に合流し総選挙に臨んだが、見事に大敗し衆議院議員38名であったものが、15人に減少した。今後、党勢の拡大はないと考えるが油断はできない。
小沢一郎についていろいろ調べていたら、数年前韓国で日本を貶めるとんでもない講演を行っていたことを知った。youtubeに掲載されているチャンネル桜の動画を見ていただきたい。 今では、誰も信じていない江上波夫氏の「騎馬民族征服説」を持ち出し史実であるかのごとく説明し、天皇は韓国人であるかのごとく言っている。また、日本人は、自立心がないとこき下ろしている。とんでもない人物である。
江上波夫氏の「騎馬民族征服説」は、学生時代に読んだが、史実とは関係ない単なる創作と解釈した。
こんな説を史実のごとくしゃべって韓国を持ち上げ、次に、日本人は、自立心がないと韓国人の前で貶めるとは、とても日本人とは思えない。
チャンネル桜の水島さんは、戦後教育の問題と言っているが、ネットを調べると小沢一郎の出目は、朝鮮人であるというページが多数ある。真実かもしれない。彼の母は、済州島出身で墓はそこにあるため毎年済州島へ墓参りに行っているという記事などがある。西村眞吾氏は、出目には触れていないが、その人格は朝鮮人であると断定している。
「小沢一郎は朝鮮人」と西村眞悟先生(削除されている。)
最後に書くが、出目が朝鮮人だからよくないと言っているのではない。他国へ行って日本・日本人を貶めることに怒っているのである。小沢一郎は、日本のためによくない。できるだけ早く消えてほしい。52. 2012年のトピックス(2012/12/31)
あと4時間で2012年も終了する。
年金生活であるから悠々自適と言ってよい生活であったが、本年一番良かったのは、亡国へと進むどうしようもない民主党政権が終り、安倍政権が誕生したことである。安倍氏のデフレ脱却への強力な取り組みを見て市場は素直に反応し、株高、円安が進行し実に喜ばしい限りである。
安倍総裁誕生は、実に奇跡である。尖閣諸島国有化に対してシナがとんでもない暴挙に出たが、これがなかったら安倍総裁は誕生せず、石波総裁が誕生したと推定される。石波内閣ならデフレ脱却はできないと思う。彼は、安倍氏のデフレ脱却政策に反対しているという。石波氏は、経済音痴と言われており、彼の経済ブレインは、あのどうしようもない東大大学院教授の伊藤元重教授だとう。ならば、安倍氏のデフレ脱却政策に反対なのは納得できる。
安倍首相、麻生財務大臣のコンビならば、必ずデフレを脱却し、日本経済を成長路線に乗せてくれると期待できる。問題は、マスコミのほとんどがアンチ安倍であることである。朝日新聞は、その筆頭ある。12月20日のこのブログで紹介した朝日新聞の論説を見れば、明らかである。朝日新聞は、日本・日本人が大嫌いで、日本がデフレを脱却し成長することがいやなのである。社是かもしれない。あるいは、小沢一郎のような日本人のマインドを持たない人ばかりではないだろうか。
安倍政権には、さまざまな妨害があると思うが、来年の参議院選挙までは、デフレ脱却、景気回復を最重点に取り組み、参議院選挙では、過半数を取ることが絶対に必要である。過半数を取れば、戦後レジュームの脱却は、スムーズに遂行できる。
私個人としては、力不足でまともなバックアップはできないが、いろいろな方法を考え安倍政権をバックアップしていきたいと思う。
53. 本年は、日本の成長・発展の年でありたい(2013/01/02)
今年は、安倍政権のデフレ脱却施策で、日本経済が、デフレから脱却し成長路線に乗ることを期待している。
財政政策として、政府が10〜20兆円の建設国債を発行し、これを日銀が買いオペで購入すれば、何も問題は起こらないはずだ。国債を日銀が購入するということは、その分だけ利息を払う必要がなくなるので、財政負担は生じない。
経済的自虐史観の連中は、ハイパーインフレになるとか、国債が暴落し、金利が上がるとか言っているが、何故こんなことが起こるか理解できない。彼らは、そうなることを具体的に何も説明をしていない。単に国民に恐怖を与え安倍政権を離反させようとするプロパガンダである。
しかしながら、今日の『三橋貴明の「新」日本経済新聞』に東田剛著で少々心配な記事が載っていた。
『報道によれば、経済財政諮問会議に伊藤元重氏と高橋進氏が、産業競争力会議には竹中平蔵氏が委員として選ばれたそうですが、三人とも新自由主義者で、熱心なTPP推進論者です。
特に、竹中平蔵氏は、「失われた二十年」をもたらし、数多くの失業者と自殺者を出し、政治を破壊した構造改革の主犯格です。
なぜ、その彼らを登用したのか。それは、安倍内閣もまた、構造改革、とりわけTPPを進めるつもりだからでしょう。
郵政民営化が典型的ですが、経済財政諮問会議は、党の反対勢力を抑え、内閣主導で構造改革を進めるための装置です。
経済財政諮問会議の民間議員は、改革派官僚が下書きした構造改革の要望である「民間議員ペーパー」を連名で出します。これで中立な民間人を装い、馬鹿なマスコミを利用して、「民間の改革派」vs「自民党の抵抗勢力」という図式を演出し、構造改革を進めるのです。
予告しておきますが、そのうち、TPP早期参加を求める「民間議員ペーパー」が出されるでしょう。「発送電分離」とも書いてあるかもしれません。
林芳正農水大臣というのも、TPP推進の布石でしょう。この人事は、先の総裁選に立候補した林氏が、自民党の次世代のリーダーにふさわしいか否かの試金石と言われていますが、安倍内閣がTPPに否定的なら、農水大臣のポストが試金石になるはずがありません。』
という記事だ。これを読むと安倍政権は、大丈夫かと心配になってきた。このブログで散々揶揄した東大の伊藤元重教授が入っており愕然とした。
これは、単なる危惧で、安倍政権の思う通りの政策を遂行するために、反対派を取り込んで反対派と対決しないようにしただけであるならよいがと思っている。どうなるやら!!
54. 産経新聞の年初の「主張」を読む(2013/01/03)
今日は、1月3日、産経新聞の社説である本年最初の「主張」が載る日である。
読んでみた。安倍政権の積極的なデフレ脱却、円高是正に賛同しているが、基調は、新自由主義である。最後に絶対反対のTPP推進が出てきた。
日本経済再生 脱デフレへ歩み確かに 規制改革で民間に勢いつけよ
http://sankei.jp.msn.com/column/topics/column-14593-t1.htm(消滅)
『今年こそ、デフレ脱却と日本経済の再生に一歩踏み出せるのではないか。近年、これほど期待を持って迎えた新年はなかった。そういっても過言ではあるまい。』と出だしを書いた後、安倍氏のデフレ脱却と円高是正の積極的な取り組みを評価した後、≪財政に新たな歯止めを≫と小題を付けて書いているが、これが旧態依然とした間違った内容だ。
『脱デフレへ上々のスタートを切ったといえるが、財政出動に伴う財源問題は素通りできない。
補正予算と平成25年度予算の国債頼みは避けられまい。しかし日本の財政事情は既に危険水域だ。借金の残高は国内総生産の2倍超と、危機に陥ったギリシャなど欧州諸国より深刻な状況にある。
それでも国債価格が安定しているのは、日本は財政規律を守る国という信頼感があるからだ。
ここが揺らぐと、国債価格は下落し、長期金利は上昇する。国の利払い費が増えて財政を圧迫、国債を大量に抱える銀行の経営をも直撃する。財政危機と金融危機を同時に起こしかねない。』
と相変わらず日本とまるっきり状況の異なるギリシャを持ち出して比較している。政府借金のGDP比率は、ギリシャより悪いかもしれないが、ギリシャは、経常収支赤字国で国債はユーロ建てで外国からの借金である。これに対し日本は、経常収支黒字国で世界一の金持ち国であり、国債は、100%円建てで95%は国内消化である。デフォルトなど全く心配ない。国債を発行して日銀が買い取れば、利払いが不要となり何も心配はない。あとは、目標インフレ2%を超えないように運用すればよいだけである。
『それでも国債価格が安定しているのは、日本は財政規律を守る国という信頼感があるからだ。』これはどういうことだろうか。『日本は財政規律を守る国』ならば、政府の借金が200%になることにはならなかったのではないだろうか。国債価格が低いのは、経常収支黒字国でデフレだからである。『日本は財政規律を守る国という信頼感』というわけのわからない抽象的な言葉を持ち出すのはおかしい。要するに国債のことを何もわかっていないようだ。
『民主党政権下の「新規国債発行44兆円以下」は棚上げするにせよ、市場の信頼をつなぎ留めるためにも新たな歯止めは必要だ。』
と『歯止めは必要だ。』書いているが、歯止めが必要ならその歯止め額を書くべきである。そもそも国債が増加したのは、デフレで税収が減少したからである。デフレから脱却し経済が成長路線に乗れば、税収が増えるので、新規国債発行の歯止めなど必要なくなる。
『デフレ脱却とともに日本経済再生の鍵を握るのは実効性ある成長戦略の構築だ。規制改革、構造改革は、その起爆剤となる。』
と新自由主義者が好む『規制改革、構造改革』が出てきたが、これはインフレ対策である。新たなビジネスチャンスを求める人には、よいかもしれないが、これが遂行されればデフレが加速されるだけである。橋本政権以降、この『規制改革、構造改革』のためにデフレに陥りデフレから脱却できなかったのである。
この後≪貿易立国の復活を図れ≫と小題を付けて書いている。
『貿易収支で黒字大国の名をほしいままにしてきた日本も、今は赤字が常態化しつつある。海外景気の減速による輸出の減少、原発停止に伴う火力発電燃料の輸入増が大きいが、国際競争力の低下という根深い問題を見過ごせない。
韓国、台湾などの追い上げに、国内家電メーカーは、価格ばかりか、技術面でも後塵(こうじん)を拝しているケースも多い。
競争力回復の主役である民間が勢いを取り戻すには、法人税減税や民間活力をそいでいる規制にもメスを入れねばならない。企業活動の自由度を拡大し、新たなビジネス市場の創出が欠かせない。
資源小国で人口減による国内市場の縮小が顕在化している日本が貿易立国の旗を降ろせば国の衰亡につながる。(以下省略)』
『国際競争力の低下という根深い問題を見過ごせない。』と言うが、国際競争力の低下は、デフレ放置、円高放置が原因である。ここでまた、新自由主義の『法人税減税』『規制緩和』が出てきている。
ところで、何故貿易立国でないといけないのか。『資源小国で人口減による国内市場の縮小が顕在化している日本が貿易立国の旗を降ろせば国の衰亡につながる。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加は、貿易復活の前提条件である。』とTPPが出てきた。TPPへの参加がどうして貿易復活になるのだろうか全くわからない。アジアの成長を取り込むという人がいるが、先に書いたようにアジアの成長など微々たるものである。そもそもTPPは、オバマ大統領の輸出倍増策から出てきたもので、悪い言い方をすれば、参加国から雇用を奪うことである。前例は、米韓FTAである。
米韓FTAが成立したときは、オバマ大統領は、「このFTAの発効により国内で7万人の雇用が創出され、アメリカ製品の輸出が年間に110億ドル程度増える」と成果を強調していた。これを韓国側から見たら「国内で7万人の雇用が失われ110億程度の輸出が失われる」ことになるのだ。TPPへの参加が、貿易復活の前提条件などになるはずがない。自由貿易は、良いことだという新自由主義者の教条でしかない。
貿易立国の復活など必要ない。貿易は、必要な資源を輸入するだけの輸出があればよい。原発を立ち上げて行けば、貿易は黒字に転換する。
産経新聞がこの程度の社説だと他の新聞はもっと悪いだろうなあ!
55. 産経新聞 「賢者に学ぶ」を読む(2013/01/04)
今日の産経新聞の一面に哲学者・適菜収氏の『「民主化」が足りない?』というコラムが載っていた。適菜氏のコラムは、いつも含蓄のあるコラムのなので、今回はどうかと思いながら読んでみた。読み終わってハッとした。今まで完全に見落としたものを的確に指摘されたのである。
哲学者・適菜収 「民主化」が足りない?
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130104/plc13010403220004-n1.htm(削除されている。)
『「日本がよくならないのは、民主化が足りないせいである」「民主主義を国民一人一人に根づかせることが必要だ」。こうしたフレーズは一般ウケがいいようで、政治家は戦後、ことあるごとに「民主化」を叫んできた。曰(いわ)く「民意を問え」「国民の審判を仰げ」「官から民へ」「官僚内閣制の打破」…。問題はこうした言葉が権力の中枢から発せられてきたことだ。』と切り出し、この後山本七平氏の認識を紹介している。
『評論家の山本七平(1921〜1991年)は、そこに戦前戦中から引き継がれた「一億一心的な発想」を見いだした。「民主主義バンザイ」という戦後のメンタリティーは、戦前戦中の超国家主義と基本的に同質のものである。それは一イデオロギーの神格化だ。』
と。そして、
『敗戦により日本人は目覚めたのではない。むしろ、戦前戦中の旧(ふる)い体質を引きずる人々、知的迷妄の闇に落ち込んだ人々が、「全国民的な目標を示すスローガン」としてマスコミを動員して民主主義礼讃(らいさん)をはじめたのである。』
そして、いろいろ説明した後、
『「民主化」が全国民的目標となった結果、権力の中枢から外に向かって国家は解体されていく。裁判員制度の導入も、また首相公選制や参院の廃止、地方分権といった政策も「民主化」の流れの延長線上にあるものだ。
戦前から戦中、戦後日本を蝕(むしば)んできたのは、外来思想を神格化し、一イデオロギーを妄信する病的な体質である。
こうした「病」を意図的に利用する政治家がいる。彼らは改革派を名乗り、守旧派、抵抗勢力、官僚といった「悪」を設定し、それを駆逐すべしと世情に訴えかける。「改革を進めれば理想社会が到来する」というわけだ。こうした根拠のない「革新幻想」は近代啓蒙主義及びその土壌であるキリスト教に由来する。「民主化」を叫ぶ人々の背後に潜む不純な動機を見抜くべきだ。』
と結んでいる。
本当に彼の言うとおりである。「民主化」だの「改革」だの「自由貿易」だの「開国」だの「地方分権」だのという言葉は、非常に聞こえがよいが、この行く先は、国家の解体、日本の滅亡である。橋下市長の率いる維新の会は特に危険であり彼の言葉に乗ってはならいない。
56. 滋賀大学準教授柴山桂太氏のユーロについて(2013/01/18)
今日の『三橋貴明の「新」日本経済新聞』に滋賀大学準教授柴山桂太氏のユーロについて判り易く適切な記述が載っていた。
『(前文略)
さて、2013年になりました。
安倍政権の誕生で景気回復の期待が高まっていますが、海外を見ると明るい材料が見当たりません。
アメリカは「財政の崖」、中国はバブル景気の後退と、世界経済は今年も厳しい状況が続くでしょう。
特に危険なのがヨーロッパです。今後、世界経済が再び大きな津波にのみ込まれるとしたら、震源地はやはりユーロ経済になるでしょう。
現行の体制を維持する限り、ギリシャもスペインも構造改革を進める以外に、債務危機を脱出する手立てがありません。
しかしこれほどの不況で歳出カットや増税を進めれば、失業率が膨れあがるのは当然です。事実、ギリシャもスペインもひどい失業率に苦しんでいます。その影響は両国にとどまりません。ユーロ圏の内需も縮小していますから、遠からず、不況の波はドイツにも押し寄せるでしょう。今は小康状態を保っているユーロ危機が、最大の正念場を迎えるのは、これからなのです。
ユーロ体制の構造的な欠陥については、いろいろな論評があります。
私が見るところ、この欠陥は制度的である以上に、思想的なものです。というのもユーロの実験は、新自由主義の理想を色濃く反映しているからです。
ユーロの理念は、究極の市場統合です。そのため加盟国は、関税や規制を撤廃し、国によって違う国内の制度(非関税障壁)も統一化を進めてきました。つまり貿易の完全自由化です。
さらに通貨まで統合して、為替変動のリスクも無くしました。そして統一通貨を維持するために、加盟国は財政赤字を一定幅に抑える協定も結びました。「小さな政府」がユーロの掟です。
貿易の完全自由化、規制緩和、構造改革、そして「小さな政府」という並びは、サプライサイド経済学とか新自由主義と呼ばれるものですね。競争によって供給要因の改善をはかることが、経済成長をつながるという考え方です。
ユーロ体制は、その考え方に基づいてつくられています。つまり欧州経済統合とは、サプライサイド経済学や新自由主義の理想を実現するという、究極の実験だったのです。
新自由主義の考え方に基づけば、どんなに不況になろうが、政府はいたずらに財政拡張をしてはいけないし、勝手に規制や保護を強化してもいけません。
ユーロ体制とはまさにそのような理念に導かれています。共通市場を導入した結果、競争力のある「北」(ドイツ)と「南」(ギリシャ)の格差が如実に表れましたが、悪いのは競争に負けた方です。ギリシャには構造改革を進めて、賃金引き下げの努力をしてもらう必要がありますし、いっそうの規制緩和を進めてもらわなければなりません。失業率がどんなに跳ね上がろうが、政府債務がどんなに膨れあがろうが、全ては「自己責任」なのです。
もちろん、そう突き放しているとユーロ体制が壊れますから、最低限の救済は行われています。でも、原則は原則です。ギリシャやスペインには自力で立ち上がってもらわないと困る、というのがユーロ体制を指導するエリート層の本音でしょう。新自由主義というとアメリカが本場というイメージがありますが、この20年を振り返ると、実はヨーロッパこそ、その最大の信奉者だったのです。
しかし、この厳しい不況下で南欧諸国にさらなる構造改革を押しつけても、景気は良くなりませんし、税収も増えません。失業率25%となれば社会が持ちません。そんな体制が長続きするはずがない、というのが常識的な見方でしょう。
今後、ヨーロッパが路線を転換するとすれば、それは単なる制度の変更にはとどまらないでしょう。ユーロ体制を導いてきた思想の変更、つまりは新自由主義からの転換を伴うはずです。
その転換がどのようなものになるのか、今の段階では、確かなことは言えません。確かなのは、今の体制を続ける限り、ユーロの未来はないということだけです。今の不況は、緊縮財政で乗り切るにはあまりに深刻です。ヨーロッパが新自由主義路線からの転換を決断しない限り、世界経済危機の第二波が始まるのは時間の問題というべきでしょう。
リーマンショックから今年で五年目に突入しますが、危機はまだ最初の段階を超えたに過ぎません。2013年の世界経済は、そのような視点から見ていく必要があります。
PS
こんな本を書いています。
amazonで星4.5個の評価がついています。 世界は「静かなる大恐慌」に突入しています。
日本は、どう生き残るべきか。
それについて述べた本です。』
まったく柴山氏の言うとおりだと思う。「今の体制を続ける限り、ユーロの未来はない」「ヨーロッパが新自由主義路線からの転換を決断しない限り、世界経済危機の第二波が始まるのは時間の問題というべきでしょう。」と最後に記している。
一方、日本には、TPPという新自由主義の嵐が押し寄せてきている。柴山氏は、「ユーロの理念は、究極の市場統合です。そのため加盟国は、関税や規制を撤廃し、国によって違う国内の制度(非関税障壁)も統一化を進めてきました。つまり貿易の完全自由化です。」と書いているが、TPPもズバリこれである。TPPに参加したら日本の伝統は、破壊され滅茶苦茶になること間違いなしである。TPPは、何としても阻止しなければならない。幸いにも自民党は、時間をかけてじっくり検討すると言っているので当面は大丈夫のようだ。
最後に、柴山氏の著書「静かなる大恐慌」を読んでみようと思っている。
57. アジアインフラ投資銀行AIIBには絶対に入ってはいけない
(2015/04/18)
少し前の話になるが、中国の「アジアインフラ投資銀行」設立というニュースを聞いて、直観的に日本は、絶対に入ってはいけないと結論した。
その後、youtubeで青山繁春氏が「アジアインフラ投資銀行」に対して適切な見解を述べていたので、これは拡散しておくべきと思ったので、このブログで紹介しておくことにした。下のリンクをクリックして青山繁春氏の見解を聞いてほしい。 この中で朝日や毎日の他に日経新聞が関与せよと社説で言っていると。これは中国から金をもらっていると言いたいと。下に日経の社説をリンクしておく。 この社説記事は、近いうちに削除されると思うので、社説の前半部分を下に掲載しておく。
【日経社説抜粋】
中国主導で創設するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、欧州の主要国が相次いで参加意思を表明した。日本はどう向き合うべきか。欧州の先進国が加わり、広がりのある国際金融機関がアジアに誕生する以上、目をそむけ続けるわけにはいかない。
AIIBの現時点の構想は、意思決定の仕組みや審査基準などに不透明な点が多い。資本金の過半を拠出する中国が強大な発言力を持ち、巨大なインフラ需要に応える資金の流れに支配的な影響を与える可能性もある。
さらに安全保障上の警戒感もあり、日米両国は参加に否定的だ。だが対中貿易・投資の実利を追う英国、ドイツ、フランス、イタリアの加入で主要7カ国(G7)のうち4カ国が構想支持に回り、先進国の日米欧と中国が対峙するという構図は完全に崩れた。
流れが変わった以上、現実的な目線で中国の構想と向き合うべきではないか。AIIBの否定や対立ではなく、むしろ積極的に関与し、関係国の立場から建設的に注文を出していく道があるはずだ。
この「アジアインフラ投資銀行」が注目されるようになったのは、アメリカの反対にもかかわらず英国が参加を表明したことで先進国が次々に参入を表明したからである。このためにバスに乗り遅れるなという付和雷同のバカな意見がまかり通るようになった。
ところで、英国は、本当に参加するだろうか。設立間際になって脱退するような気がしてならない。というのは、香港デモに対して中国政府は、英中の返還協定は、無効だと言い出したため、条約違反だと英国は非常に怒っている。英国は、これに対し必ず報復処置をとるでしょう。長谷川慶太郎氏は、ローンの停止→株価操作だと言っているが、AIIB離脱も視野に入っていると思う。当たるかどうか?
なお、チャンネル桜の動画を見ていたら、AIIBは、「アジア インチキ イカサマ 銀行」と揶揄している人もいた。(2015/04/18)
58. 青山繁晴の憲法改正案に大賛成(2018/01/07)
久々の記事です。長い間、サボっていました。
現行憲法は、アメリカが日本を二度と立ち上がらせないために押し付けたものですが、戦後70年経過しても改正されることなくそのままで、実になさけない状況です。朝日、毎日などの左翼新聞は、改正反対です。日本の新聞でしょうか。
最近は、イギリス人ジャーナリストのヘンリー・S・ストークス氏やアメリカ人弁護士のケント・ギルバード氏などは、盛んに、日本人は、GHQののWGIPの呪縛から早く脱出せよと言っています。
安倍首相は、憲法改正しようと努力していますが、いろいろな反発を受けています。
昨年(2017年)12月に青山繁晴氏が絶妙な改正案を提案しました。それは、
九条の第三項に 『本九条は、自衛権の発動を妨げない』 を追加するだけです。
素晴らしい提案です。「自衛権の発動」の範囲内なら戦力保持、陸海空軍の保持など問題ありません。
この改正案ならよほどの変人でない限り反対できません。
この改正案ならば、国民投票は賛成多数となり改正が成立します。なので、憲法改正反対の左翼新聞は、全くの無視で、一切報道もしていません。本当にどうしようもない左翼マスコミです。
皆さん
この改正案を敷衍し憲法改正を達成しましょう。>
(2018/1/7)
59. ブログの見直しを行います(2019/03/02)
長い間、ブログ掲載をサボっていました。昨年9月で80歳になったので、ブログの活性化を図ろうと思っております。
FC2のブログを利用するのは、どうもスッキリしません。私は、HTML文は、簡単に書けるので、自分のサーバにブログを設定します。そして、FC2のブログに掲載したものは、逐次移していくことにしています。 (2019/3/2)